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「永遠の使い魔」 ○月×日 今日は待ちに待ったコントラクト・サーヴァントの儀式の日、 今日こそ魔法を成功させて私をゼロと呼ぶ奴らを見返してやろうと『思っていた』 『思っていた』という言葉の通り私の召還魔法は失敗した。 正しく言うと成功したのだけど召還したのは平民、それも変な格好をした訳の解らない奴だった… しかも変な格好だけならともかくとして私が…その…契約の為の…キ…キスを(ああもうなんであんな奴にしなければならなかったのよ!) しようとした時何かブツブツ言ってた、ハッキリ言って気持ち悪いし気味が悪かった、それに顔は無表情で何を考えてるかよく解らない。 でも見た目と言葉はともかくとして私が『使い魔になりなさい』と言った時にアイツはすぐに使い魔になることを了承した。 意外と根はまともなのかもしれない、きちんと敬語を使っていたし『洗濯も掃除もどんな雑用も、何でもやります、それに必ず貴女を護ってみせる』 なんて嬉しい事を言ってくれたし…(別に喜んでるわけじゃない、使い魔なら当然の事よ!!) アイツには床で寝させようと思ってたけど忠実な所に免じて学院の余ってるベッドを部屋に運んで(使い魔がやってくれた、結構力持ちみたいだ) そこで寝るように言ったら目を白黒していたけどすぐに喜んで礼を言った。 『必ず…今度こそ護って見せる』なんて訳のわからない事呟いてた、今度って何よ?やっぱり訳が解らない使い魔だ… ○月△日 アイツは結構…いやかなり忠実な使い魔だ。 昨日命令しておいた洗濯は完璧にこなしていたし、着替えも文句言わずにやったし、それに自分から掃除を進んでやってくれた。 かなり雑用はやり慣れてるみたいで、どこかで使用人でもやっていたのか?と聞いたけど違うと言っていた。 ご褒美にメイドに頼んで人間用の食事を用意させてそれを食べさせた(本当は別の物を食べさせようとしたのは内緒だ) アイツは嬉しそうに(と言っても顔は無表情だったが)礼を何度も言った、実に忠実な使い魔だ。 しかも忠実なだけじゃない、頭も良いのだ! 只の平民と思っていたが、魔法の属性といった基礎知識やそれぞれの役割、得意不得意についてそこらのメイジ並み、いや私以上に理解してたのだ。 実はメイジなんじゃないのか?と言ったが違うといっていた、まあ使い魔が賢ければ賢いに越した事はないので良しと思う事にした。 それに優しい使い魔だ… 私がちょっと錬金を失敗させたせいで教室が壊れてその罰として掃除を命じられたのだが、アイツは命令もしていないのに掃除を手伝ってくれた。 それを私は喜ぶべきだったろう…だけどその時私は無性に惨めな気持ちになった。 こんなに忠実で賢い使い魔に対して私は「ゼロ」…思わず八つ当たりしてしまった、でもアイツはこう言ってくれたのだ。 『失敗があってもそれをいつか乗り越えていけば良いんです、私はそれを手助けするための存在ですから。 それに貴女はゼロなんかじゃありませんし、きっと立派なメイジになれます。 貴女は私を絶望から救ってくれた、希望を与えてくれた、かならずその恩を返して見せます。』 嬉しかった…あんなに優しい事を言われたのは生まれて初めてだったからだ… 私が失敗するたびに皆私を蔑む、見下す。家族だってどこか哀れんでいる様な気がしていた。私に味方なんていなかった。 でもあいつは私の味方でいてくれると言ってくれた。 私はきっとアイツの気持ちに応えてみせる。 でも『地獄から救った』というのはどういう意味だろう?私が召還する前の環境はそんなに酷い場所だったのだろうか? ○月◇日 今日は事件が起きた。 起こした原因はギーシュと私自身、それと私の使い魔。 食堂でアイツと昼食を取っていた時ギーシュが小瓶を落とした。 親切にも私がそれを拾って渡してやったがギーシュは『自分の物じゃない』と言い張った、こいつ頭脳がマヌケになったのか? と思ったが『理由』があったようだ、何故解ったかというと私の目の前でその『理由』があっという間にギーシュをフルボッコにしたからだ。 何でも二股してたらしい、やっぱり頭脳はマヌケの様だ。 でも事件はそれで終わらなかった、マヌケは私に文句を付けて来たのだ。 『少しは気を利かせろ』だの『ちょっと話を合わせてくれたっていいだろ』とか実にマヌケらしい事を言ってた。 それだけならまだしもあいつは逆切れしてこう言おうとした。 『そういえば君は「ゼロ」だったね?そんな魔法だけでなく脳味噌も「ゼロ」の君にそんな事期待した僕が…』 マヌケがその続きを言おうとした瞬間アイツが助けてくれた。 あっという間の出来事だった、いきなりマヌケの顔を殴ったかと思うと、 『彼女に「ゼロ」などと言う者は許しはしない』とさらに続けてこう言った、『決闘を申し込む』マヌケは一人じゃなくて二人だった… 私が止めようとしたがアイツはそれを聞かずに『ギーシュ如きに負けはしない』なんて事を言ったのだ… 無論ギーシュはブチ切れて『ヴェストリの広場で待つ!!!!』と言い残して、去っていった。 アイツも直ぐに広場に向かった…どうしよう…このままじゃ…なーんて杞憂も決闘が始まって一瞬で消えた、決闘も一瞬で終わった。 ギーシュが青銅で錬成した「ワルキューレ」を出し決闘を始める宣言をする。 その次の瞬間にアイツがあっという間にギーシュの目の前に現れ、薔薇を模した杖を折って決闘を終わらせた。 凄い速さだった、本当に見えないくらいの速さだった。 アイツは賢くて忠実で優しいだけじゃない。とっても強い最高の使い魔。私の大切な使い魔… ○月◎日 今日は虚無の日、アイツに何か武器を買ってやろうと思った。(別に昨日や一昨日の事を嬉しく思ったからじゃないわよ!!単にいくら力が強くても丸腰だったら危ないからよ!!) でもツェルスプトー(コイツは私の天敵でいつもつっかかって来る!書き忘れていたが一昨日も使い魔を自慢してきたのだ!何がサラマンダーよ!!!こっちは平民でも世界で一番の使い魔よ!!!!) とその友達のタバサ(この子はキュルケと違って静かでおとなしい子、よく解んない所があるけどね…)が 私達の買い物に着いて来たのが気に入らなかった。(タバサは無理やり連れて来られたみたいだからそんなに腹は立たなかったけど) せっかく二人っきり…じゃなくて!とにかく鬱陶しいのよ!色情狂のエロスプトーめ!! 街の武器屋に着くとアイツは直ぐに変な武器を取りそれを買ってくれと言った、折角『もっと良い武器を買ってやる』と言ったのにアイツは、 『この剣に似た剣を使ったことがあります、だから慣れてて丁度良いんです』と言っていたのでその剣を買ってやる事にした。 インテリジェンスソード、しかもボロボロで口の悪い剣なんかに似た剣なんて…アイツはちょっと武器の趣味が悪いのかもしれない… でも散々口喧しかったボロ剣、「デルフ」はアイツが持った時に「使い手」だのなんだの言って結局素直に買われた。 そういえば武器屋の店主が最近「土くれのフーケ」という怪盗が国中を騒がせていると言ったが、その話を聞いた時アイツが険しい顔をしていた。いったいどうしたのだろうか? それよりもあのスケベプトーめ!!何しに付いて来たかと思ったら私の使い魔にアプローチする為に付いて来たのだ!! 『決闘での強さに惚れた』ですって!?冗談じゃない!私の方が先に…じゃなくて!!あれは私の使い魔よ!!誰にも渡すもんですか!!!絶対によ!!!! 別にアイツの事なんか好きでもなんでもないわよ!?単にあんなエロ女にアイツが騙されるのを哀れに思っただけよ!! あのビッチプトーめ…武器屋で私が買おうとした一番高い剣を買ってアイツにプレゼントしようとしたのだ!! まあアイツは『そんな鈍らなんか必要ない』って断ったんだけどね。でも見ただけであの剣が鈍らなんて解るなんて… きっと魔法だけでなく剣の事も詳しいのね。 ○月☆日 今日事件が起きた、それも大事件、決闘なんて比べられないほどの。 最近国中を騒がせている「土くれのフーケ」がこの学院に来たのだ! 巨大なゴーレムがいきなり現れて塔を殴り始め大騒ぎ、何でも学院の宝である「破壊の杖」を狙っていたそうだ。 私はフーケを捕まえる為にゴーレムを魔法で攻撃した、丁度その時にキュルケとタバサが居て私を止めようとしたけど私はそれを無視した。 本当に馬鹿だったと思うわ…二人は私を心配してくれてたのに… でもあの時はそんな事考えられなかった。きっとフーケを捕まえたら立派なメイジとして皆に認められると思ったから… でもゴーレムは何度も再生して倒す事が出来ず私を邪魔者と認識したのか私に向かってその巨大な腕で攻撃してきた。 あの時は本当に死ぬかと思ったわ。 でもアイツが助けてくれた、あっという間の速さでデルフを使いゴーレムの腕を切って、そして決闘の時のように一瞬でゴーレムに飛び乗ってフーケを捕まえちゃったのよ!! アイツの早業にも驚いたけどフーケの正体がミス・ロングビルだったのにはもっと驚いたわ!! (後でオスマンのエロ爺が『セクハラしても怒らなかった、自分に惚れてると思った』などとふざけた理由でロングビルを雇った事を聞いたときには驚きを通り越し呆れたが…) それでも今日一番驚いたのはアイツが私を怒った事、アイツが私を怒るなんて初めての事だった。 でもアイツは本気で私の事を心配してくれた、それにキュルケやタバサも私の事を心配してくれた。 私の事を心配してくれるのはアイツだけじゃない…それがとっても嬉しかったわ… ◆月★日 日記を書くのも久しぶりね…あれから色んなことがあったから… あれからアンリエッタ姫様に頼まれてワルドとアルビオンにウェールズ様に送った手紙を取りに行く任務を任せられたのよ(何故かギーシュも着いて来た)。 その途中で盗賊に襲われてピンチになった時偶然私と姫様の話を聞いてたらしいキュルケとタバサが助けてくれて。 思えばあの時から、私は彼女たちの事を「友達」と思っていた、友情は今も、そしてこれからもずっと続くと思う。 (もっともあの頃は素直になれなくて何度か喧嘩してけど、それも今となっては良い思い出ね) ラ・ロシェールでは捕まった筈のフーケが白い仮面の男と一緒に襲ってきてキュルケ達が囮になってくれたのよ。 目的地のアルビオンに向かう途中の船で海賊に襲われたと思ったらその海賊達が変装したウェールズ様達だったのよね。 それからアルビオンではワルドが急に結婚式を挙げようとして(正直性急ってレベルじゃないわよって思ったわ) 結婚を断ったら急に自分の目的とか明かしてウェールズ様と私を亡き者にしようとして危うく殺されるとこだったわ。 まあアイツが私たちを護ってくれたんだけどね。 その後私が虚無の使い手だって解ったり、レコン・キスタと戦ったり、タバサのお母様を助けたり、 本当に色々あったわ…でもいつだってアイツは私の傍に居て、どんな時も護ってくれた。 貴方は強くて、賢くて、優しくて、私の…私の大好きな使い魔よ… 本当にいつもありがとうね、ディアボロ…私の一番大切な人。 これからもずっと一緒に居てね… 「永遠の使い魔」完 永遠の使い魔―プロローグ― 『私は…私は…いったい何度死ぬのだろうか?次はどこから死が襲ってくるのだろうか?』 そう思っていた、完全に絶望していた。 あの少女に出会うまでは… 最初にあの少女に出会ったとき訳が解らなかった。 いきなり『使い魔になれ』だの、『平民なんて最悪だ』だの『メイジ』や『二つある月』だの訳が解らなかった。 唯一つ暫く時間が経って解った事は、『死が襲ってこない事』だけであった。 始めはいつもより時間が掛かって死ぬだけだと思っていたが何時間も経っても、一日が過ぎても結局死が訪れなかった。 この目の前に居る『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』という名の少女は私を無限の地獄から救ってくれたのだ。 私は嬉しかった、苦しみから解放されたことに。 そして私は決意した、あの地獄から救ってくれたこの主人を護ろうと。 彼女は私に雑用を命じた、初めての事に戸惑いながらも少しずつこなしていった。 彼女の恩に報いる為に、自分を救ってくれた主人に幸せに成ってもらうために… だがその決意も虚しく彼女を護る事が出来なかった。 殺されてしまったのだ…『土くれのフーケ』と名乗る怪盗をルイズが捕らえようと戦いを挑み、返り討ちに遭ったのだ… あっけなかった…キング・クリムゾンでも間に合わなかった… そして次の瞬間私は当たり前のように自分の首をキング・クリムゾンで切っていた。 『恩人を護れなかった自分は死がお似合いだ』そう考えたのだろうか?何にせよ、私は死を選んだ。 そして私は久しぶりにあの暗く、どこまでも深く、絶望的な死の闇に飲まれた。 だが私は目を覚ました、私はまたあの『地獄』が始まるのだろう、 そう思いながら次に目を覚ました瞬間信じられない光景を見たのだ!!!! ルイズが居るではないか!?死んだはずのルイズが生き返っているではないか!! あの光景は悪い夢だったのか?そう思って喜び彼女に話しかけたその時、彼女は信じられない言葉を口にした。 『あんた、私の事知ってるの?』 彼女は私の事など「知らなかった」それも当然だ。 戻っていたのだ、あの日に。 ルイズに絶望から救ってもらったあの日に… これは奇跡か?悪夢か?そう考えた時ふっとある事を思い出した、私を地獄に堕とした『奴』の言う「終わりのない終わり」の事を… 何故そんな事を考えたのかは解らない、だが一つだけ解った事がある。 私はまた『護ることが出来る』のだ、と… あれから何度も戻った、彼女が殺されるのみならず事故や病気でも、彼女が死ぬ度に私は自ら命を絶ち時を戻したのだ。 いったい何度死ぬのだろう?いったい何度目で彼女を最後まで護り通す事が出来るのだろう? だが何度死のうと私は護ってみせる、今度こそ最後まで護ってみせる。 そして私は今も自ら命を絶つ、今度こそ護り抜く為に。 彼女は私の主人なのだから、私は彼女の使い魔なのだから… 『我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』 『…今度こそ…護ってみせる…』 プロローグ 「終わりのない使い魔」 完
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今は昔 一五六五年頃 王位継承を争った ふたりの女王がいた 一人は女王エリザベス一世 もうひとりは美貌の23歳メアリー・スチュアート ともにチューダー王家の血統を継ぐ親戚同士で タルカスと黒騎士ブラフォードはメアリーの忠実なる家来だった (中略) 二人は捕らえられた そして処刑されるその寸前聞かされたことは 「メアリーはすでに処刑した」 ふたりはこうして処刑された、強い恨みを残して処刑されたのだ タルカスは その筋肉が怒りのため硬直し首を切り落とすのに処刑人は 何本ものオノを折ったという ブラフォードは その長髪がどういうわけか 処刑人の足にからみつきにいくまでくい込んで 死んでいったという そしておよそ300年後吸血鬼ディオによりゾンビとして蘇ったブラフォードとタルカス しかしタルカスは一夜で今度はただのゾンビとして再び歴史の闇に消えた 一方ブラフォードは人の心を取り戻し 300年後の世界の友人ににpluck(勇気)の剣を託して眠った しかしブラフォードは女王のもとにではなく新たな主人のもとへと旅たつ事になった 使い魔は英雄 「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ!神聖で美しく!そして強力な使い魔よ! 私は心より求め!訴えるわ !我が導きに答えなさい!」 青い空、緑の草原にすさまじい爆音が響いた 「やった!さすがルイズ!何も召還できてないぜ!」 波紋が吸血鬼に流れるような勢いで笑いが広がった 「ゼロの分際で高望みしすぎたんだ」 「さようなら!ルイズ君の事はわすれない!」 「退学ゥ!退学ゥ!」 「貴族として終了のお知らせ」 「ちょっとまて!な・・・何かいるぞッ!!!」 野次を飛ばしていた内の一人が叫んだ 「こ・・・これは・・・HE・・・I・・・MI・・・・N・・・・」 その時ルイズの周りでわかりやすく「プツン」と決定的何かが切れた音が響いたという 「ミスタ・コルベール!もう一度召還さs「NO(だめでございます)」 「(しかし成功には変わりない!今すぐ契約しにいかないと!)」 ルイズがそう思ったときにはすでに使い魔に向かって全力で走り出していた! ズギュウゥウウウン! 「UOOOOOOOOOOOO!!!!」 ブラフォードは激痛により目を覚ました 「(ここは何処だ・・・!た・・・太陽!俺はゾンビになって倒されてあの世に行ったはずでは・・・」 「お・・・おわりました!」 ガクガク震えながらもルイズは契約できたと伝えた 「ふむ・・・・珍しいルーンだな・・・」 とコルベールはスタープラチナもびっくりなスピードと精密動作で ブラフォードの手に刻まれたルーンを紙に写した 「さて教室へ戻ろうか」 コルベールがそう言おうとしたときには既にほぼ全員が帰っていた 「アンタ名前は?」 「俺の名は・・・ブラフォード・・・黒騎士ブラフォードだ・・・」
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「俺の名はペイジ」 ドォッシュウウウ 「ジョーンズ」 ボシュウッ 「プラント」 ジュウウウウウウウ 「ボーンナム 血管s」 デロリン 「ルン!ルン!ルン!」 ゴシャァアッ 「ズラ!」 ボシ─── 「え!?…オレ? 外に居たのは……おれだったァ── 棺桶の中に居たはずなのにィ~~~~」 ゾバゾバッ 爆音が響き、土煙を巻き上げて何かを呼び出す閃光。 そして、土煙が晴れる度に日光を浴びる度に呼び出した使い魔が溶けて消えていく。 それが今日の『ゼロのルイズ』の『サモン・サーヴァント』の晴舞台であった。 「おいおい、一体何回死なせるんだよ!」 「ゼロじゃなくて死神のルイズか!?」 「十回超えてるじゃねぇェかよぉぉお! なあ、帰っていいだろぉぉおお? なぁぁああ、こく……コルベールの先生よぉぉおお!」 爆発と召還と消滅の一連の動作を遠巻きに見ている外野もいい加減飽きてきたらしい。 最初は囃し立てるような大きな声で野次を飛ばしていたが、 今はもうささやきのようになっている。 「……ミス・ヴァリエール」 生徒に比べて比較的近く、しかし爆発に巻き込まれない絶妙な位置に立っていたハゲが ルイズと呼ばれた少女に話しかける。 「予定時間を考えると今日は次で最後です。 それで駄目だったら、翌日にしましょう。まだ猶予はありますからね」 声を掛けられた少女は、その言葉に一際表情を引き締めた。 ここで失敗したら明日は余計にバカにされると分かっているからだ。 人一倍プライドの高い彼女にとってそれだけは許してはならない事なのだ。 「どーせ駄目なんだからやるだけ無駄だって。 なんせ『ゼロのルイズ』なんだからなァアア!」 最後、という言葉に勢いを取り戻した野次を無視し、 ルイズは呪文を口にし、意識を集中させていく。 「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ…… 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ 私は心より求め、訴えるわ 我が導きに……答えなさいッ!!」 ドッグォオオオン! 何度目か分からない呪文の後、 一際強い爆発と共に派手に土煙が上がった。 ───────ゼロのメイジとアホの使い魔 「んだァ?こりゃあ?」 冬の寒さがいよいよ到来してきた頃、 仗助や康一と『トラザルディー』で昼飯を食っての帰路、 心身共に健康になった億泰は『ソレ』に眉を顰めて無い脳みそを回転させていた。 『ソレ』は家の扉の真ん前に出ていた『鏡』だった。 高さ2メートル、幅1メートルはありそうな楕円形で、しかも宙に浮いている。 スタンド使いならすぐさま警戒しそうな所だが、 吉良吉影が倒されて以来スタンド使いによる目立った事件が無かったために 億泰はすっかりと油断していた。 一般人でもやりそうな何かを投げつけるような行動もせず、いきなり鏡に触れた! 通らないと家に入れなかったため、さっさと潜り抜けようと思ったのだ。 バリィ! 「うっ、うおおおおおおおお~~~~~~~ッ!?」 かつて『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に地下ケーブルへと 引きずり込まれた時のようなショックを受け、 そのまま倒れこむようにして鏡へ飛び込んでしまった! そして絶え間なく続く衝撃に意識を手放してしまう。 油断とはいえこの男、オツムが足りないのだろうか。 「っつ~~~~~~~~」 「あんた誰?」 誰かに呼びかけられた気がして、頭を抱えながら億泰は目覚めた。 まず、地方とはいえ五万三千の人口を抱える杜王町では 見る事のできないような澄んだ空が目に入った。 次に、ピンクが強く出たブロンドの髪をした少女が覗き込んでいる事に気がつく。 よく見ると黒いマントに杖を持っていて、 まるで昔兄貴に読んでもらった絵本に出てきた魔法使いのような格好だ。 遠くにはお城まで聳え立っている。 (おいおい~~~!俺は家の前に居た筈だよなァ~~~! なんだこの状況はよォ。外人さんに囲まれてんじゃねえかぁあ~~!) 「貴族を無視していいと思ってるの! 私が誰かと尋ねてるの!さっさと答えなさい!」 珍しく思考に没頭する事となった億泰だったが、 その女の様子にプッツン由花子を連想してしまい、 ふくらんだ風船が萎んだような気分になった。 答えないのも面倒くさそーな気がして、投げやりに答える。 「俺は虹村億泰…だ」 起き上がりながら周囲を見渡すと、 ルイズと同じような格好をした少年少女と、ハゲ。 そしてその周りには……何体ものモンスターが! 「ニジムラオクヤス?変な名前ね。 一体どこの平民n」 「ってなんだってェーーーーっ!! 『ザ・ハンド』!」 ズギュン! 他の使い魔達を見て思わずスタンドを発現する。 「プッ!」 「アハハハハハ!流石『ゼロのルイズ』だ!」 「フッフッフッフハハハフフフフヘハハハハフホホアハハ」 「ウケッウケッウケコッウコケウコケ ウヒャホコケコケコケケケケケケケケコケコ」 「『サモン・サーヴァント』で平民を! それも頭の飛び切り悪そうなのを召喚したぞ!」 「いや、頭がおかしいんじゃないか!? いきなり叫んでるぞアイツ!」 その様子を見て周囲の生徒で笑いが巻き起こった。 確かに頭悪いのは事実だけどよォー、 としょんぼりしながらスタンドを解除する億泰。 どうやらこの中にはスタンド使いも敵もいないらしい。 その裏でルイズは億泰のスタンド発現に続き、 他の生徒の爆笑のせいで完全にセリフがぶった切られてプッツンしていた。 「ミ、ミミミミミスタ・コルベール! 再召喚させてくだs」 「NO!NO!NO!NO!NO! 君はこの儀式を愚弄するのかね!ミス・ヴァリエール! それも!今日の最後の猶予で! 平民とはいえ成功したならやり直しは有り得ないィイイ!」 だが、更にセリフを潰されながら拒否されてしまった。 「でも平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 「例外は認めないィィイイ! だから彼を君の使い魔にするんだ。早く続けなさい」 さらりと言われ、ルイズは諦めたように返事をした。 「………分かりました」 立ち尽くしている億泰へと改めて目を移す。 180サント近い背に、間の抜けた顔つき。 どうやったって好意的には見れないが、諦めたようにルイズは歩み寄りながら呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 杖を億泰の頭に乗せ、力ずくでしゃがませて額に移す。 「イテ!イテェ!なにしやが…」 (さよなら、私のファーストキス) ズキュウウウウウウウウン! 喚く億泰を無視して!心で涙を流しながらも強引にルイズはキスをした! ただし、一瞬だけ。触れるなり思いっきり突き飛ばすように離れてだが! 「終わりました……」 「………」 ブワァァ! と、急激に億泰が涙を流しだした。 「お、俺が…女の子から…チューされた…?」 スタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃を身をもって味わい、 そんな事で幸せを噛み締めている億泰だったが… 「くぁ!?」 その余韻は左手に突如襲い掛かった熱にかき消された。 焼けた鉄板に押し付けるような熱さに思わず億泰は草原の上を転げまわる。 「あづ、あち、アチィイイ!」 「五月蝿いわね……使い魔のルーンが刻まれてるだけよ」 そう言いつつも、ルイズの心はやっと安堵できていた。 『サモン・サーヴァント』も『コントラクト・サーヴァント』も成功した。 だが、その一方で平民という事実がルイズに重くのしかかっている。 この男が今日召喚された使い魔の中で『最も恐ろしい』という事も知らずに……
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前ページ次ページサジタリアスの使い魔 「神聖で美しく、そして強力な使い魔よ。私は心より求め、訴えるわ。我が導きに答えなさい」 言い終えると同時に杖を振るルイズ。そして、起こる爆発。その爆発に周りの生徒たちも巻き込まれヤジが飛ぶ 「やっぱり爆発するのかよー」 「やっぱりゼロはゼロだな」 そして、黒煙がはれた中にあらわれた者にルイズは絶句した そこには、上半身裸の男が横たわっていたからである あぁ、終わったなとルイズは思った よりにもよって、出てきたのが人間で、格好からしてただの平民だと思ったからだ しかし、彼女も、そして周りの生徒たちも、ここで横たわっている男がどれだけ強大な力を秘めているか後に知ることとなるのだが・・・ ルイズは気を取り直し、男に目を向けて思った (あれ、こいつよく見てみると・・・) 男は頭から血を流していて、体にも深い傷を負っていた この状態から察するに寝ているのではなく、意識がないのだろう いわゆる、瀕死の状態である。ルイズは思った (これなら、もう一度召還し直せるかも!!) 「ミスタ・コルベール」 「何だね」 「もう一度召還させてください」 「それはできない」 「しかし、これは今にも死にそうなんです。今契約しても、いずれ命を落とします。それならば、もう一度召還を・・・」 「何ですと!!それを早く言いなさいミス・ヴァリエール。早く彼を医務室へ運びなさい!!救える命は、救うのですぞ!!」 「え?え?」 「あーじれったい、もういい私が運びます!!そこの君、早く行って医務室に伝えてきてください。そら、いきますよミス・ヴァリエール!!」 (ちょっと・・・ちょっと・・・何でこうなるのよぉ~~~!!!!) ルイズはそう叫びたい気持ちを押し殺してコルベールの後に付いていった 前ページ次ページサジタリアスの使い魔
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サモン・サーヴァントの儀式の終わった日の夜、ルイズは眠ることが出来ずにいた。 目をつぶっても昼間に起きた出来事が頭の中を駆け巡る。気がついたら東の空から太陽が昇り始めている。 あの後使い魔が消えたことで最もショックを受けていたのは意外にもキュルケだった。 今まで見たことない素直さでルイズに謝ってきたのだ。正直どう反応すればいいか分からなかったので適当に流しておいたが。 ルイズが思いのほか冷静だったのは、自分の手元に召喚した奇妙な箱が残ってたからだ。 今はもう火は出てない。あの時の騒ぎで気づいたときにはもう消えていた。だが壊れたわけではないようだ。 たぶんこの箱から火を出せば再びあの使い魔は現れる。 そして再び私を襲うんだろう。向こうはこっちの事を主人と認識してないようだ。 「あ~もう。どうしよう」 思わずつぶやく。が、そういいながらも心の中ではひとつの覚悟を決めつつあった。 今まで誰よりも努力してきたつもりだが、それでも報われず魔法が成功したためしはない。 その自分が始めてほぼ成功したと言う事ができたのだ。後もう少し。 後はあの使い魔に私を主人と認めさせる。そしてどのメイジにも負けない信頼関係を作る…! (点火「する」。ではなく点火「した」なら使ってもいい!) ルイズの手の中で火が踊った。 また後ろに現れるのではないかと思って、あらかじめ背中に壁を付けておいた。 世の中には背中を見られたら死んでしまう奇病があるという話を意味もなく思い出す。 予定通りと言うべきかどうか、使い魔は今度は自分の前に現れた。 昼間と全く同じ格好の黒尽くめの亜人。そして。 「おまえ…『再点火』したな!」 第一声も全く同じ。 違うのはそれに立ち向かうようにして杖を握りしめるルイズ。 「ええ。『再点火』したわよ」 ドドドドドドドドドドドドドドド………… (やっぱり影だ……) さっきからその場をうろうろするだけの使い魔を見てルイズは確信する。 昼間の出会いのとき心に引っかかったいくつかの単語。 再点火、チャンス、選ばれるべき者、影。 キュルケはこの使い魔がルイズの影に触れた後で、ルイズが叫び始めたと言っていた。 今回はあらかじめ自分の影が壁に向かうようにロウソクを立てておく。 余計な影ができると困るのでカーテンは閉めておいた。 これらは自分の影を守る為の作戦だったのだが、別の事実も浮かび上がらせることになった。 (こいつ。さっきから影の部分しか歩いてない) 使い魔がさっきから歩いているのは、ロウソクの光によって出来た家具の影の部分だけだった。 ひとまず自分は安全地帯にいることを認識したルイズは、使い魔に話しかけてみる。 「あんた名前は?私の使い魔なんでしょ?」 使い魔は動きを止めこっちを見ると答えた。 「チャンスをやろう!お前には向かうべき二つの道がある!一つは生きて『選ばれるべき者』への道!」 (ど~しろっていうのよ) 全く会話にならない。こいつはもしかしてこれ以外の言葉を知らないのか?思わず嘆息してしまう。 ああ。サモン・サーヴァントはもうやり直しできないし、使い魔は話を聞かないし。つまりハサミ討ちの形になるな… …………だんだんむかっ腹がたってきたわ。なんで私だけ使い魔のためにいろいろ考えて寝不足にならないといけないの? 逆じゃあないのか?選ぶのは私で、寝不足になるのはこの使い魔のほうなんじゃないのか? ルイズは相変わらず演説を続ける使い魔に向かって足を踏み出した。 使い魔がルイズの影に触れたと思った瞬間、使い魔に肩を掴まれている状態になっている。 昼間の再現。だからルイズはあわてなかった。 「チャンスをや「うるさい!!!」」 また同じことをリピートしようとする使い魔に一喝する。 「意味わかんないこと言ってんじゃないの!アンタは私の使い魔なの!私がご主人さまなの!」 ルイズはその目をけっして使い魔から離さず睨み続ける。 使い魔の動きが止まる。そして。 「チャンスをやろう!お前には「だからもうそれは聞いた!!」」 使い魔の動きが再び止まる。 「チャン「うるさい!!!」」 両者の動きが再び止まった。相変わらず使い魔の感情を読み取ることはできない。 どれくらいその状態が続いたか分からない。ルイズにはそれこそ永遠のように感じた。だが睨みは効かせ続ける。 使い魔はしばらくするとルイズの肩からトンと押すように手を離した。 よろけて転びそうになる!と思ったのは一瞬で、気がつくと少し離れた場所に立っている。 (今のは『私の体』を掴んでたんじゃないのね) 息を落ち着かせながらそんなことを考える。 使い魔の方を見てみる。雰囲気が変わったとは思えないが、もう襲ってくる様子はないようだ。 「あんた名前は?」 答えは返ってこない。 またひとつ嘆息。 「じゃあもうここは譲歩して私から言うわ。ありがたく聞きなさい。私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」 反応はない。 「あんたを選んだ者よ」 やっぱり反応はない。 どうやってこの使い魔と信頼関係を作る?というよりコミュニケーションを取る?……ルイズは頭を抱えた。そのとき。 「ブラック・サバス」 「え?」 とりあえず名前は知ることができた。いやブラック・サバスが名前なのか本当は分からないのだが この際細かいことは考えないでおく。とりあえず一歩進んだ。ここから少しずつ進めればいい。努力には慣れてる。 この使い魔は何ができるのか。とりあえず簡単な命令からやってみようと思った。 「洗濯とか分かる?コレ」 ルイズは洗濯物が入ったカゴをブラック・サバスに渡す。 使い魔はそれを受け取ると…………なんの躊躇もなく食べた。 え……ルイズはその行動にしばらく絶句してしまう。なにをやったこの使い魔は!? 「何やってんの!すぐ出しなさい!このバカ犬!」 もう信頼関係なんて言葉は頭から飛んでいた。ブラック・サバスは我関せずといった雰囲気でルイズを見下ろしている。 「どうしたのルイズ?」 鍵がかかってたはずのドアが開き、廊下からキュルケが入ってくる。 と、その瞬間ブラック・サバスの姿が消え去った! 「あ!」 思わずルイズは声をあげる。あわててキュルケの横を抜け廊下に出て左右を見渡す。 わずかにだが廊下の端を影の線が伸びている。 もしあれが影上でしか動けなくてもこの上を伝って行けば相当移動できるだろう。 さらに時間が立って影の範囲が大きくなればほとんど学校中を移動できるのでは? 「ちょっとルイズどうしたのよ」 後ろを見るとキュルケが不思議そうにこちらを見ている。その足元には赤くてでかいトカゲが。おい尻尾燃えてるぞ。 「ああ、この子が私の使い魔のフレイムよ。あのさ~、えーと、あんたの使い魔は……やっぱ」 キュルケが珍しく言葉を濁すように話している。どうも自分がルイズの使い魔を殺したと勘違いしているようだ。 最近珍しいキュルケばっか見るな。なんてルイズは思いながらも 「使い魔に逃げられた」などと言うことも出来ずに、ただ廊下の先を見つめていた。 汚れたエプロンなどを洗濯するために水汲み場へ向かうメイドが一人。シエスタである。 今日もいい天気だ。というかよすぎる。 シエスタは少しでも日の光から離れるため校舎の日影の部分を歩いていた。 しかし水汲み場まで残り数メートルは日影がない。それに水汲み場自体は影になるところが無く、日に照らされている。 それでも太陽の光を反射してキラキラと光る水汲み場を見ると、涼しい気持ちになる。 水汲み場へ歩いていく。回りには誰もいなくて、付いてくるのは自分の影だけ。 「お前にチャンスをやろう」 後ろから声が聞こえヒッと悲鳴をあげてしまう。あわてて後ろを振り向く。 そこには黒い帽子に黒いマント、人間とはとうてい思えない顔と体、そしてその右手にはなぜか洗濯かご。 見詰め合うこと数分。 「あの……何かようですか?」 根負けしたシエスタは、目の前の怪しさ爆発の存在に声をかけた。 15分後そこには2人並んで洗濯しているシエスタとブラック・サバスの姿が! 「私ここで使用人をやらさせてもらっています。シエスタと申します」 「…………」 「あ、この洗濯道具は自由に使っていただいてけっこうですよ」 「…………」 「そ、その格好暑くないですか?」 「…………」 「ウミネコだ。ありゃーカモメじゃねぇーぜ。ウミネコだ。どうやって見分けるか知ってるか?」 「…………」 (…………空気が重い。エコーズACT3ってレベルじゃねーぞ!) 横からの妙なプレッシャーに思わず泣きそうになる。 黙々と洗濯をする隣の亜人に、なにか他に話題はないかと頭を回転させる。 「あなたはどなたの使い魔なんですか?」 ……やはり返事はない。もう黙ってさっさとしあげてしまおう。そう思ったとき 「ルイズ」 驚いて横を見るが、使い魔は相変わらず手は動したままこっちを見ようとはしない。 「ルイズ……ミス・ヴァリエールの使い魔なんですね?」 シエスタは会話が繋がったことに驚き、思わず声が大きくなる。 すると急に辺りが暗くなる。何事かと上を見ると巨大なドラゴンが空を通過していく。 「すごいですね。あれも使い魔なんでしょうか。わたし龍は初めて見ました」 ひとり興奮しながらも隣のサバスに話し続ける。 しかし、横を見ると使い魔はいなかった。洗濯物とカゴも消えていた。 To Be Continued 。。。。?
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なるほど、確かにこの世で最も神聖で美しいといえるだろう。 とても強力そうという印象もある。 私のイメージとは違ったが、「この世で最も神聖で美しい、強力な使い魔」という条件には叶っている。 だけど……だけど! なんで私が召喚した使い魔がただの『剣』なのよ~~~~~!? 「おい、ルイズが剣を召喚したぞ!」 「召喚? どうせ街で買ったのを埋めてただけじゃないのか」 「ははは、なるほど。そういう事か」 あいつら~~……! よし顔は覚えた。 あとで爆破ね。 まあ、いくら私でも前もってこんな剣を前もって手に入れるなんて無理だけど。 先ほども言ったが、私が唱えた呪文のイメージに、この剣はピッタリと当てはまるのだ。 柄に埋め込まれた幾つもの美しい宝石、巨大な刀身、細やかな細工。 そして何よりも、なんとこの剣、全体が黄金色に輝いているのだ。 黄金で作られた大剣。 いくらヴァリエールがトリステイン随一の大貴族でも、こんなもの買ったら家の財産にも影響が出るだろう。 試しに持ち上げてみたが、その見た目に反比例して羽のように軽い。 うん、素人の私にもはっきりとわかるほどのすごい剣だわ。 我が家に飾っても遜色ないくらい。 でも使い魔なのよね…… 「ミス・ヴァリエール、落ち込んでいてもなんにもなりませんぞ。その……納得はいかないでしょうが……早くコントラクト・サーヴァントの方を」 え!? コルベール先生……確かに私はこれを召喚しました。 でも剣ですよ? なんだって剣なんかにキスしなきゃいけないんですか!? 私のファーストキスが剣だなんて……そんなのあんまりじゃないですか! ……でもまあ、相手が変顔の平民とかじゃない分、幾らかマシよね。 これならキスの内には入らないだろうし。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」 丁度鍔の中央にある大きな宝石に口付けすることにした。 ルーンが出るかどうか少々不安だったが、鍔の裏側に当たる部分にちゃんとルーンが現れた。 こんな所に出るなんてちょっと意外だわ。 コルベール先生が珍しいルーンだとか言ってスケッチした所で召喚の儀式は無事終了。 私以外のみんなはレビテーションを使って使い魔と一緒に空中へと浮かび上がり各々の部屋へと帰って行く。 「お前は歩いて来いよ、ゼロのルイズ」 「ゼロな上に剣持って歩くなんてさ、貴族としてもどうなんだか」 何人かが似たような捨て台詞を私に吐きかけながら去って行った。 こんの、言わせておけば~~! それもこれもぜ~んぶこんなのが召喚されたせいだ。 コレのせいで私はーーーー!! 勢い任せにその剣を思いっきり振りかぶった後、そばにあった岩に叩きつけた。 ズガーーーーーン! すると驚いた事に、その岩が真っ二つに割れたのだ。 「え!?」 ちょっとちょっと! やっぱりコレってすごい剣なんじゃない! でも…… 「はぁ~」 それでもやっぱりただの剣よね。 せめて犬とかなら格好も……いや何か犬はいやだ。 それに、貴族が杖じゃなくて剣で戦うなんてのもまずい。 貴族とは杖を持って魔法で戦うものだ。 それが剣だなんて……姉さまにばれたらまたなんて言われるか…… やっぱりこれも失敗だったのかな? 秘薬も取ってこれないし、守るって言っても私は剣なんて持ったことないし…… ああもう! 結局剣なんて役立たずじゃない! ……あれ? この宝石こんなに濁ってたっけ? まあ、どうでもいい事ね。 はぁ~あぁ~…… また失敗。 居残りで部屋の片付けなんてこれが初めてってわけじゃないけど、それでもやっぱし嫌なものは嫌よね。 それよりもマリコルヌの奴…… 『おいおい、いくらゼロだからってヴァリエールの財力を利用してまで見栄を張りたいのかよ』 あんの風っぴき豚があああぁぁぁぁぁぁぁ!! そんなの出来ないって事ぐらいあんたもわかってるでしょうが! ああもう全く! それもこれもみーーーーんなあんたのせいよ!! ……って私剣に向かってしゃべってる!? 傍から見たらかなり危ないわよねコレ…… もうコレを召喚してからロクな事がないわ。 やっぱ失敗だった――あれ? なんか昨日よりもさらに宝石が黒くなってるような…… とにかく、今はそんなことよりも片付けよ片付け。 早くしないとお昼も食べ損ねちゃう。 朝起きれなった分は昼にちゃんと食べとかないと。 「キミが不用意にビンを拾ったせいで二人のレディが傷ついてしまった。この責任はどうやって取るつもりだい?」 ギーシュの奴、元は全部あんたが浮気したせいでしょうが! ここは一つ、同じ貴族としてガツンと言わねばなるまい。 そうでなくても、平民を守るのは貴族の役目よね。 「ちょっとギーシュ、メイドに八つ当たりなんてみっともないわよ」 「ん? ああ、ゼロのルイズか。キミには関係のない事だ。下がっていたまえ」 「そうはいかないわ。貴族としてあるまじき行為を見過ごすなんて、ヴァリエールの恥さらしよ」 「どうやら状況をよくわかってないみたいだね。いいかい、彼女がこの香水を拾ったときにボクはあえて無視したんだ。それなのに彼女がしつこくボクに言い寄ったせいでこんなことになってしまった。 ちょっとぐらい機転を利かせてくれてもいい所だろう?」 こいつはどうやら平民全てが自分の思い道理にならないと気がすまないらしい。 「バッカじゃないの? 自分で撒いた種を自分で処理出来ずに他人のせいにするなんて、あんたみたいなのがいるからトリステインの貴族は落ちぶれてるなんていわれるのよ」 「この……言わせておけば!」 あ、ギーシュの顔が赤くなった。 でも私は正しい事を言ってるんだし、何も悪くないわよね 「ちょっとは自分で何とかしてみたら? 平民のせいにでもしなきゃなんにも出来ないようなのは貴族でもなんでもないわ。ただのバカよ」 「いくらキミが女の子とはいえ、ボクに対する数々の暴言、もはや聞き逃すわけにはいかないな」 「当然よ。私は間違った事は言ってないんだから、聞き逃されでもしたらたまんないわ」 「その発言、後悔させてあげるよ。 決闘だ! 場所はヴェストリの広場だ」 「あら、いいの? 貴族同士の決闘は禁止されてるはずよ」 「怖気づいて逃げるつもりかい? それならそうとちゃんと言えばいいじゃないか」 「いいえ違うわ、勝つのは私だってわかってるから譲歩してあげてるのよ。今あなたがあのメイドに謝れば決闘なんてしなくても済むでしょう? そうすればあなたも負けずに済むじゃない」 「くっ! いいだろう。その思い上がった口をボクが決闘の場で塞いであげよう!」 フン、思い上がってるのはどっちなのかしらね。 今の私にはこの使い魔の剣がある。 確かにメイジが剣で戦うなんてちょっとカッコ悪いけど、それでも四の五の言ってる状況じゃない。 この岩をも割る剣があれば、ギーシュのゴーレムなんて目じゃないわ! キンッ キンッ あれ? あれ? 「はっはっは、どうしたんだいルイズ。さっきまでの威勢はどうしたのかな? その剣は見かけ倒しかい?」 うそ! どうして!? 私があの時振るった時には確かに岩を割ったのに、このワルキューレのゴーレムには傷一つ付けることも出来ない。 何で!? どうして!? 「えーーーーーい!」 キンッ キンッ キンッ やっぱり。 何度斬りつけても、ギーシュの戦乙女を模したゴーレム、ワルキューレは無傷なままだ。 「ふっ。それじゃあ、そろそろボクも反撃させてもらうよ!」 と、今まで不動のままだったワルキューレが動き出し、私に向かって殴りかかってきた。 とっさに私は剣で防御する。 「キャッ!」 そのまま剣ごと2メイルほど吹き飛ばされた私は地面に顔をこすり付けながら無様な格好で倒れてしまった。 どうして? コレはすごい剣のはずなのに…… あれ? 剣がない! 先ほどまで握っていたはずの剣がどこにもないのだ。 さっき吹き飛ばされたときに落としちゃったんだ! 周囲を見回してもどこも落ちてはいない。 が、視線を上に向けた時にそれは見つかった。 なんと、ギーシュのワルキューレが持ち上げていたのだ。 「か……返し――うっ!」 立ち上がろうとした時、足に激痛が走った。 よく見ると右足首が赤く腫れあがっている。 どうやら捻挫したみたいね。 でも、今はそんな事は関係ないわ! 「返して……それを……それを返しなさい!」 「ふふ、こんなナマクラ剣に何の価値があるんだい? そら」 と、ギーシュのワルキューレはゴミでも捨てるように剣を投げ捨てた。 確かにどういうわけか今はギーシュのワルキューレに傷を付けることも出来ず、約に立つとは思えない。 生き物でも、ただの平民ですらない。 でも、でも! それでも、16年間生きてきて、私が初めて成功した魔法の証なのよ。 私はゆっくりと立ち上がり、剣に近づいていく。 捻挫した右足がすごく痛いけど、それよりも私の使い魔の方が大切だ。 そうよ、これは……こいつは私の使い魔。 私が召喚した、私だけの使い魔。 「こいつだけは……こいつだけは誰にも譲れないのよおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 再び剣を掴もうとした時、足の痛みで蹲ってしまい、柄ではなく、誤って鍔に埋め込まれた宝石台を掴んでしまった。 だがその時、ガチャリと音を立ててその宝石台が反転した。 するとなんと、剣の刃が二つに割れ、鍔が左右に大きく伸びて…… いや、違う。 剣の刃は二つに割れて足の形になり、鍔の両側からは拳が現れて腕となった。 そして、柄の部分が引き下がり、その中には兜を被ったかのような顔が存在した。 「ズバァァァァァァァァァン!」 大きな咆哮を上げて、そいつは大地に立った。 人ではない。 むしろ、ギーシュのワルキューレと同じゴーレムと同種の物。 だが大きな違いは、ギーシュが操っているだけのワルキューレと違い、こちらにははっきりとした『意思』を感じる。 そう、生きているのだ。 よく見ると、ちょうど左手に当たる部分にルーンが刻まれている。 「ルイズの剣が……ルイズの剣がゴーレムになったぞ!」 「なんだあれは!? あんな金ぴかのゴーレム今まで見たことないぞ!」 「ズルしてたんじゃなかったのかよ!」 これが……これが私の使い魔の本当の姿? 黄金の剣じゃなくて、黄金のゴーレム…… 失敗じゃあ……なかったの? 「あなたが……私の使い魔なの?」 私はそいつに向かって問いかけるように確かめる。 「ズン、ズン」 と、そいつはそう言って体を上下に揺らした。 イエスって事でいいのかしら? 「本当に私の使い魔なのよね?」 「ズンズン」 「私のいう事はなんでも聞いてくれるのよね?」 「ズン、ズン」 「じゃあお願い、私と一緒に戦って!」 「ズバァァァァァァァァァン!」 そいつはワルキューレに立ち向かい、構えを取った。 「ふ……ふん! そんなコケ脅しがボクのワルキューレに通用するものか! 行け、ワルキューレ」 先に仕掛けたのはギーシュだった。 ワルキューレはそいつとの距離を一気に詰めて拳を繰り出す。 だが、 「ズバァァァン!」 そいつもまたワルキューレに合わせるように拳を突き出し、二つのゴーレムの拳が激突した。 ドガァァァァァァァァァン! 爆発音と共に、ギーシュのゴーレムは粉々に砕かれた。 すごい! ギーシュのワルキューレを一撃で倒しちゃうなんて。 そいつは私に振り向いて 「ズンズン」 と、さっきと同じ様に体を上下させた。 「すごいのね、あんた。名前は……ズバーンでいいのかしら?」 「ズン、ズン」 いいらしい。 ズバーン、私の使い魔の名前。 私が召喚した、私だけの使い魔。 黄金のゴーレム、ズバーン。 「もしかしたら私って天才なのかも――」 「ありえない……」 私が悦に浸ろうとした瞬間、ギーシュのうめき声が聞こえた。 「ありえない……ボクのワルキューレが…… ルイズの使い魔なんかに……ゼロのルイズの使い魔なんかに……ゼロのルイズなんかに……ゼロなんかに……ゼロなんかに! ゼロなんかに!! ゼロなんかに!!!」 狂ったように叫んだギーシュはバラを振り回し、飛び散った花びらが六体のワルキューレへと変化した。 さっきのワルキューレは素手だったが、今度のは剣や槍など、各々の武装を身に付けている。 「ゼロなんかにこのギーシュ・ド・グラモンが負けるはずがあるかあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ギーシュの金切り声が響き、六体のワルキューレは私に向かって一直線に走り出した。 ちょっと! 嘘でしょ!? 逃げようにも足を挫いている私はすぐには動けない。 私はあまりの恐ろしさに目を瞑った。 いやだ、こんな所で死にたくない! ガキンガキンガキーン! 余りにも唐突に鳴り響いた金属音に驚いて、私は目を開けた。 「ズ……ズバーン!」 「ズンズン」 目の前にはズバーンの緑色に光る目があった。 ズバーンが身を挺して私を助けてくれたのだ 「ズバァァァァァン!」 ズバーンが振り向くと同時に、六体のワルキューレを振り払い、ワルキューレはギーシュのすぐそばまで吹き飛ばされる。 「このガラクタがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 再度、ギーシュの雄叫びと共にワルキューレは立ち上がり、ズバーンに向けて突進する。 まずい。 確かにズバーンは強い。 それはさっき確認したばかりだ。 だけど、六対一でもズバーンは勝てるのだろうか? あんな武器を持ったワルキューレに素手のズバーンでは……いや。 それでも、ズバーンなら絶対に勝てる! ほら、あれだけの攻撃を受けてもズバーンは全くの無傷じゃない。 それに、さっき私は自分の事を天才だと本気で思った。 人生で初めてだった。 心の底からそう思えた。 ズバーンを召喚できた自分はすごいメイジに必ずなれると。 だから私はズバーンを信じる。 私が呼び出したズバーンの力を。 ズバーンを呼び出した私の力を。 六体が何よ! 武器が何よ! ズバーンは、私のズバーンは絶対に負けないんだから! 「ズバーン、あいつらを倒して!!」 「ズバァァァァァァァァァン!」 そうよ、私の使い魔はこの世で最も神聖で美しい、強力な使い魔なんだから! 「ズン」 と、ズバーンは再び構えを取り六対のワルキューレを迎え撃つ。 その瞬間、ズバーンの胸の宝石が強く光り輝き、そして、 「ズバズバズバズバズバァァァァァァァァァン!!」 ズバーンの放つ連続の飛び蹴りが、光の軌跡を描いて六対のワルキューレに打ち込まれた。 ドゴオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!! ズバーンの攻撃を食らったワルキューレ達は、一体残らず、跡形もなく爆破四散してしまった。 「ズバン」 ズバーンは私の方を向いてガッツポーズのような格好をした。 『やったよ!』と、私にそう言ってるような気がした。 「そ……そんな……ボクのワルキューレが…………」 ギーシュはガクリと膝を落として、持っていた薔薇が手から滑り落ちた。 「ルイズの使い魔がギーシュに勝ったぞ!」 「おい、これはギーシュとルイズの決闘じゃなかったのか?」 「でもルイズの使い魔だし、それに剣だし」 「いや、あれはどう見てもゴーレムだろ?」 「とにかくギーシュの負けだ!」 集まっていた他の生徒達が騒ぎ始める。 まあいいわ。 とにかく、これでギーシュを懲らしめる事が出来たんだから。 それに、ズバーンの事もわかったんだしね。 とりあえずズバーンに労いの言葉でも―― 「痛っ!」 そうだった、私、捻挫してたんだった。 改めて冷静になると、さっきまで忘れていたのが嘘のように痛い。 これじゃあ医務室まで自力で行くのも―― 「ズバァァァン」 「キャッ! ちょっとズバーン!?」 私がいきなりこんな変な声を上げたのも無理はない。 そりゃ自分の使い魔にお姫様抱っこをされればびっくりするのも当然でしょう。 「ズバーン、いきなり何するのよ! いや、別に悪いわけじゃないけど……今度からはちゃんと一声かけなさい!」 「ズンズン」 返事と同時にズバーンの胸の宝石がキラリと輝いた。 あ、やっぱり。 宝石がさっきまでとは比べ物にならないくらいに綺麗になってる。 黒くなってるように見えたのは気のせいじゃなかったんだ。 どうしてだろう? 何かまずい事を言ったから不機嫌になってたとか…… あ、そうか。 私、ただの剣だと思って役立たずとか失敗とか言っちゃってたからな。 それでどんどん黒くなっていったとか? 「その……ズバーン。役立たずとか失敗とか、色々言ったり八つ当たりしたりしてゴメンね」 「ズン、ズン」 キラリ やっぱりそうだ! そうか、私がズバーンと仲良くなれば自然とズバーンも強くなるんだわ 宝石が黒かった時にはズバーンに色々悪い事しちゃってたからワルキューレも切れなかったのね。 そうなんだ。 じゃあ、これからズバーンともっと仲良くなれば、ズバーンはもっと強くなるのかしら? でも、今は足の方が先決ね。 「ズバーン、とりあえず私をこのまま医務室に運んでちょうだい」 「ズンズン」 ズバーンは歩き出したが、それは医務室がある塔とは反対の方向だった。 「ちょっと! 医務室はあっちよ」 「バァァン……」 ああ、シュンとしちゃった。 なるほど、これから色々教えていかなきゃいけないわけね。 これは先が思いやられそうだわ…… だけど、 強くて、優しくて、素直で、頼もしい、私の最高の使い魔。 私だけの、この世で唯一無二のパートナー。 「ねえズバーン」 「バン?」 「これからもよろしくね」 「ズバァァァァァァァァァン!」 一方その頃 「う″う″……」 カタカタ、カタカタ 「おいデル公、なに震えてるんだよ」 「いや、なんか悪寒が走ってよ……」 「はぁ? 剣のテメーに悪寒なんてあんのか?」 「いや、悪寒つーかよ、何か俺の価値っつーか……存在意義っつーか…… そういうのひっくるめて全部消えちまったような……そんな変な予感がしたんだよ」 「何言ってんだ。価値も何も、テメーみてえなボロ剣を買う奴なんざいるわけねえだろ!」 「ひでぇ……そこまで言わなくても……」 「ちょっ!泣くんじゃねえよ!こんなのいつもの事だろ!」 「違え……違えんだよ……そーじゃねーんだよ……うう……うぅ~……」 「はぁ、ったく。今日のデル公はどうしちまったんだか……」 終 轟轟戦隊ボウケンジャーより、大剣人ズバーン召喚 戻る
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その男は自分は死んだと思っていた。 確かにその男は死んでいた。 自分の大事な家族を庇い、その代償として生命を失った。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求めうったえるわ!我が導きに、答えなさい!」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、 自らの使い魔を呼び出すためにサモン・サーヴァントを唱えた。 ドッグォバアァン!! そして起こる 大 爆 発 「ま~た爆発しやがったよ」 「流石はゼロのルイズだな…イテテ」 「おい大丈夫か?」 「ああ、ありがとう」 そんな中ルイズは…観ていた。自分が爆破した場所を。 そしてその本来なら起こらないはずの爆発の爆心地には……男が倒れていた。 それを見た周りのメイジたちは、 「何だ、あれは?」「人間か?」「あの格好は、どう見ても平民…」「ああ…平民だね、間違いなく」 等と動揺しながらもその男を見て、そして感想を言っている。 「あんた、誰?」 爆発騒ぎを起こしながらも周囲に謝ることなく倒れている男に話しかけるルイズ。 その声で男は目を覚ました。 男はあたりを見回してみる。 「ここは、何処なんだ?」 目の前にいた女(ルイズ)に質問する 「質問を質問でかえすなあーっ!!私が『あんた、誰?』と聞いているんだッ!」 その女の返答には奇妙な迫力があったが男はその程度でビビるような奴ではなかった。 「おれの名前は、虹村形兆だ」 だが答えた。 To Be Continued ↓↓
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ズキュウウウウウウウウウウウウウウウン 鉄塔から凝縮された破壊のエネルギーが発射される。 圧倒的なエネルギーの奔流は渦を巻きフーケとそのゴーレムに襲い掛かる 「ひっ・・・」 ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!! 先ほどとまったく同じ爆発がフーケを包み込む。 「アラヤダーーーーーーーー!!!!」 ゴーレムは粉々に消し飛びフーケはきれいに吹っ飛んで星になった。キランという効果音つきで。 「あなたの敗因はただ一つ・・・あなたは私を侮辱した」 ビシ、とポーズを決めルイズは空を見上げる。 屋根は完全に崩壊し空に浮かぶ二つの月が煌々と辺りを照らす。 月の光を浴びる錆びた鉄塔はちょっとした絵画のようだった。 「ふ・・・ふふ・・・なんか悪くないわね、こいつ」 フーケを撃退したルイズはいたくこの鉄塔を気に入った。 そうだとも、閉じ込められて最悪の気分だったがこの鉄塔は悪くない、悪くないのだ。 破壊の杖の魔法すらはね返すこいつはある意味最強の盾だ。どんな外敵も恐れる必要はない。 床を整備すれば二階にも住めるようになるだろう。貴族の住処としては、まぁ及第点だ。 ご飯は・・・給仕に運んでもらえばいいか・・・いやそれ以前にまずトイレを・・・ ルイズの妄想が加速し思考が一巡しようとしたとき、 ヴォン ヴォン ヴォン カッ! 「きゃっ!」 まばゆい光が辺りを包み込んだ。その光が消えるとそこには、 「・・・あれ?」 鉄塔は消えうせ足元には一枚の円盤が落ちていた。 次の日学園は大騒ぎになった。 当然だろう、あの土くれのフーケをやすやすと学内に侵入さえあまつさえ宝物庫を叩き壊されたのだから。 だがそれは一人の英雄によって阻止された。言わずもがな彼女、ルイズ・フランソワーズ~中略~ヴァリエールの手によって。 フーケは近くの森で上半身が地面に刺さった状態で衛兵に発見された。 あの爆発でよく生き残れたものだとルイズは感心した。ギャグって素敵ね。 「ミス・ヴァリエール、良くぞフーケより破壊の杖を死守してくれた」 「いえ、オールド・オスマン。残念ですが破壊の杖は・・・」 破壊の杖はフーケのゴーレムと一緒に消し飛んでしまった。 当然と言えば当然だろう。フーケが生きていることのほうが奇跡なのだから。 「よいよい。フーケに杖を盗まれなかった、このことが重要なのじゃ。貴族の面子と宝物庫の宝一つ。 どっちが重要かは火を見るより明らかじゃ」 「ミス・ヴァリエール、あなたには精錬勲章の申請を行うことにしました。あ、もちろん 使い魔の再召喚もすぐに行えるように手配しています。建物が直るまでもう少し待ってください」 「・・・・・・・・・・・・・」 そうだ。彼女の召喚した使い魔はあれ以来消えてなくなった、銀色の円盤を残して。 「ちょっと! ちょっとあんたどこいったの?答えなさいよ! ねえ!」 「ご主人様に黙って消えちゃうなんて許されると思ってるの? 使い魔のくせに!」 しかしその呼びかけに答えが返ってくることはなかった。 最初から最後まで鉄塔は無言を貫き通し、そしてクールに去っていった。 「はぁ・・・・・・」 それゆえに彼女は精錬勲章の話を聞いてもあまり嬉しくなかった。 無論一生鳥籠の中よりは絶対今の状況がましなのは事実だが。 あーあ、せっかくあいつとなんとかやっていけそうになるかなと思ったのにな。 ルイズはひとりごちた。 銀色の円盤の正体はは結局何なのかわからなかった。それは光に当てると虹色の輝きを発する不思議な円盤だった。 円盤の裏にはなにやら文字が書き込まれてあったがトリスティンで使われている文字でないらしく、読むことは出来なかった。 ガラクタ好きのミスタ・コルベールは早速目をつけこの円盤が何なのかを研究に取り掛かった。 しかし、彼の知識をもってしてもこの円盤がなんなのかをついに解明することはできなかった。 「いやいや、解明できなかったとは失礼じゃぞい。確かにこの円盤の正体はわからなかったが裏側に書いてあった 文字はほれ、解読できたぞ」 「! なんと書いてあるのですか?」 「うむ、この文字はトリスティンはおろか、ゲルマニア、アルビオン、どの国の言葉でもない。 しかし東方から伝えられたと言う書物に同じ文字が使われておった。 この左側の五文字は「SUPER」、右側の三文字は「FLY」と読むらしいのじゃ」 「SUPER・・・FLY・・・スーパーフライ?」 「うむ、書物どおりに読み解くと『素晴らしき大空』という意味らしい」 「素晴らしき・・・大空ですか」 それがあんたの名前なの? その問いかけには無論、円盤は答えなかった。 結局円盤は破壊の杖の代わりに宝物庫に収められる事になった。 トリスティン魔法学園を救った英雄の使い魔、そのなれの果てとして。 2ヵ月後 「それではミス・ヴァリエール前へ」 「はい」 待ちに待った再召喚の儀式の日。 私の心は嫌が応にも高まった。 今度こそちゃんとした使い魔を。あいつなんかより愛想がよくて働いてくれて・・・そしてクールでかっこいい使い魔を! 「宇宙の果てのどこかにいる私のシモベよ… 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ 私は心より求め、訴えるわ 我が導きに…答えなさいッ!!」 ・・・・この後彼女はトリスティン魔法学園の地下一円に広がる大迷宮を呼び出してしまうことになるのだが、 それはまた別のお話。
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爆炎の使い魔 漂う土煙!これはルイズによって起こされたもの! 召喚の儀だというのに、性懲りもなく爆発を起こした少女、ルイズ!! しかし、しかし!だからこそ現れたのではないだろうか! 爆発こそが「それ」を象徴する能力なのだからッ!! 時間は少し遡る。 幽霊の出る小道で主と引き離された「それ」は‘どこでもない場所‘を彷徨っていた。 体はバラバラ、ひび割れて無残な姿だ。 主を失ったスタンドはどうなるのか・・・それはわからない。 おそらくは消えていくのであろう。 だが!「それ」の場合は消えなかった! 主がとどまり続けるのと同様に(もちろん「それ」はそのことを知らないが)、 「それ」もまた新たなる世界でとどまり続けるのだ! さあっ!迎えの光がやってきた! 光に飲み込まれていく「それ」は自らの体が修復されていくのを感じていた・・・。 土煙が晴れ、そこに一つのヴィジョンが佇んでいた。 それを見たルイズは喜びに打ち震えていた。自らが召喚した使い魔がその優美な姿を見せていたからだ。 猫と髑髏が融合したかのような顔、筋骨隆々たる体、そして何者をも寄せ付けない気高い威圧感! そのどれをとっても貴族たる自分に相応しい。 「嘘だろ・・・ゼロのルイズが成功しやがった・・・。」 「イ、インチキに決まってる!!」 「そうだ!爆発に紛れて何とかしたんだ!」 プツンッ!ルイズの方から何かが切れた音がした。 「黙りなさい・・・。」 「何だよ!図星なモンだから焦ってんだろ。」 「黙りなさい、と言ったのが聞こえなかったの・・・? このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール・・・。 そのような姑息な真似は!一切!!していないッ!!! これは正真正銘!私が召喚した!私の使い魔よッ!!!!!」 To Be Continued → 目次
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人は運命に使役される使い魔である。 「・・・・・・あれ?」 その日は年に一度の恒例行事、使い魔召還の儀。 彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエールもまたほかの生徒と同じく使い魔を召喚しようとして、 ”失敗”した? 「あれ? え? え?」 机の影に隠れてた生徒たちが顔を出す。彼らもまた驚いている。 ”ゼロのルイズ”たるルイズの失敗など日常茶飯事だと言うのに。 それもそのはず、”爆発”が起きてないからだ。 数多の平行世界の彼女であってもここで爆発しないということは絶対にありえない。そのはずなのだが。 「おっほん、ミス・ヴァリエール。これは召喚に失敗したと見てよろしいのですかね? 「ま、まって下さいミスタ・コルベール。ま、まだ失敗と決まったわけじゃ」 その時 ヒュ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン ドグシャア!! 「おべがげべはぁ!」 「うわああああああ、いきなり岩が落ちてきたー! しかも運悪くギーシュが下敷き!」 「ああ、でも見てっ! ギーシュの足元にいたカエルはなぜか無傷」 「これが波紋なのか!?」 これが彼女と”運命”との邂逅であった。 「ええっと・・・とりあえずギーシュはすぐに医務室に運びました。気を失ってますが命に別状はないそうです。」 「うーむ、あれだけのダメージを負って気を失う程度なのか彼は・・・」 そりゃ天井からあのサイズの岩石が落ちてくれば普通即死だろう。 とりあえず自分の失敗で死人を出さなかったことに彼女は安堵した。 「ミスタ・コルベール、やはりこれは私の使い魔なのでしょうか?」 「そうですね、ゴーレムが呼び出されること自体はそう珍しくないので十分あり得るでしょう。 ・・・少々珍しいゴーレムのようですがね、彼は」 そう言ってコルベールは岩に目を向ける。 その岩は見れば見ること不思議な岩だった。 まず球体だ。ほぼ完全な。岩を完全な球体にするなど、どこぞの中国四千年くらいしかできるものではない。 そう考えるとやはりゴーレムの線が濃いだろう。 ゴーレムに手や足はなく、ただ一部に変な模様が刻まれていた。 「ミスタなんなんでしょうこの・・・四角の一本線が足りないのに×印がついたマークは」 「ふうむ、私も始めてみる紋章ですね。あるいは何らかの文字でしょうか」 コルベールは知的探究心を刺激されたのか岩のあちこちを触って感触を確かめている。 「ミスタ・コルベール、どうやって契約を行えば・・・」 「おっと、失礼。使い魔の契約は口付けが原則ですが生憎このゴーレムには口らしきものはありませんね。 仕方ありません。とりあえずどこでもいいので口付けをしてみて下さい」 由緒と伝統のある使い魔召還の契約の儀式がどこでもいいでよかろうんだろうか。 ルイズは多少不安になりつつもそっと紋章のちょっと上に口付けた。すると ペキ ペキペキ ペキペキペキ 「やった!」 岩の裏側に使い魔のルーンらしき文字が彫られていく。 つまりこれは正真正銘私が呼び出した、私の使い魔だ。 「よろしい。これで全員が使い魔を召喚できたことになりますな。よかったよかった」 「つまんないの。これでルイズだけ留年したりしたら面白かったのに」 キュルケが野次を飛ばすがルイズは気にしない。 「よろしくね・・・ええっとあなたの名前何にしようか」 「さぁとりあえず学校を案内するわついてきなさい。あなたの名前も考えないといけないし」 しかし岩はピクリとも動かなかった。 「ちょっと、聞いてるの?今更知らんふりしたって無駄よ。あなたが私の使い魔だってことは分かってるんだから」 やっぱり岩は動かない。 「むむむむむむむ・・・もしかして何か動かす方法があるのかしら」 ルイズは手を組んでうんうん考えたが特に何も思い浮かばなかった。 それはそうだ。ゴーレムの知識など彼女は0だからだ。ギーシュじゃあるまいし。 「とりあえずこのままにしてく訳にもいかないし・・・ああもう! 」 ゴーロ ゴーロ ゴーロ クスクス ゴーロ ゴーロ ゴーロ ゴーロ なにあれ? 知らないの? ゴーロゴー 「・・・っぷ、何やってるのあなた?」 「・・・うるさい」 「大変ねえ。レビテーションなんてコモンマジックすら扱えないと。手伝ってあげましょうか?」 「結構。私の使い魔の面倒は私が見るわ」 「あらそう。でも、どうすんのここから」 なんとかルイズは岩を寮まで運んだが、ここからは階段だ。 ルイズの細腕ではとても運べるものじゃない。 「・・・いいのよ!こいつは入り口においてく! どうせまた明日授業に連れて行くんだし」 「・・・あんた毎日それ押して授業受けに行く気?」 「私の勝手よ! いいからあっちに行って!」 キュルケを追い返し彼女も部屋に戻った。 「はぁ・・・なんなのよもう」 正直使い魔の契約が出来たとき彼女は有頂天だった。 爆発も起こさず使い魔を召喚できた。魔法の成功自体彼女の人生の中では快挙だった。奇跡だった。 呼び出せたのは多少変なのだったが、文句を言うレベルではない。 だからこそ他人の嘲笑に耐えてあそこまで岩を運んだんだから。 「ほんとに・・・私の使い魔なのかな」 彼女がもう一度大きなため息をつこうとしたその時 ゴト 「きゃっ!?」 誰かいるの? ルイズが振り向いたそこには 「・・・あんた、もしかして自分で来たの?」 いつの間にか部屋には岩が鎮座していた。 「なによ、動けるんなら最初からいいなさいよ、バカ」 彼女は岩をパシンと叩く。手が痛いだけだった。 「そだ、あんたの名前考えたわ。可憐で高貴で素晴らしい岩と言う意味の・・・『ローリングストーン』よ。かっこいいでしょ?」 「・・・・・・・・・・・」 無論岩がその名前に不平を言うことも不満を言うこともなかった。 むろん違うだろ、と言う突っ込みさえも。 「おはよう、キュルケ。いい朝ね」 次の日の朝、授業が始まる前にルイズはキュルケに挨拶した。 いつもは目すら殆どあわせないのだが。 「あら、おはようルイズ。あなたの大事な使い魔さんは運べたの?」 「ご心配なくこれこの通り」 ぽんぽんと足元をたたくルイズ。そこには岩が昨日と変わらずその身を晒していた。 「・・・使えるようになったの? レビテーション」 「使い魔が主人に付き従うのは当然のことでしょ? わざわざそんな必要はないわ」 といいつつルイズも実はよく分かっていなかった。 岩を動くところも彼女は見たことはないからだ。ただいつの間にか”岩は側に立っている”のだから。 食事のときもいつの間にか足元にいた。パンとスープを与えてみたがやはり食べることはなかったが。 なんと忠義に厚い使い魔だろうか。彼女はその程度にしか考えてなかったが。 「ふーん・・・まあいいや。ところで聞いた? あの話」 「あの話?」 「実はね・・・」 「はい、皆さん席について。授業を始めます」 シュブルーズが教室に入ってきたことにより、その話は中断された。 「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですね。おめでとうございます」 授業は滞りなく進んでいく。ルイズが爆発したことも含め。さいわいシュブリーズに怪我はなかったようだが。 おかげで授業は途中で取りやめになった。ルイズは罰として教室の後片付けを命じられた。 当然ローリングストーンは手伝ってくれるわけもないため一人で片付ける。 「はぁ・・・今度はうまくいくと思ったんだけどなあ」 やっぱり召喚の時のあれは偶然だったのだろうか。教室を片付けながらルイズ昨日つけなかった分のため息をついた。 「はぁ~~~やっぱルイズはこうでなくっちゃ。スッキリしないわ」 「あら、そう。じゃあ昨日の分を貸し付けて失敗して差し上げましょうか?」 「うわ、ちょちょちょ、冗談よ冗談。あ、それより聞いた? あの話?」 「あの話?」 そういえば授業の前もいってたな。 「何の話?」 「アルビオンってあるじゃん。あの浮遊大陸の」 そんなの知ってる。少なくともゲルマニアなんかよりもよっぽど親交が深い。 そういえばアルビオンは現在内戦中だったと聞いたがなにかあったのだろうか。 「あそこの王子様さ、死んじゃったらしいわよ」 「死んだ? 王国が滅亡したの?」 「いやそれがね」 ・ ・ ・ 「事故死なんだってさ」